相続トラブルを弁護士に依頼するメリットとは

弁護士 木谷 倫之 (きだに ともゆき)

遺産相続の問題点は、ただ複雑な手続きを要することばかりではありません。

関係良好だったはずの家族が「自分の相続分はこうだ」と強弁する事例や、立場を利用して相続財産を私物化してしまうような事例も見られます。

こうした相続をめぐる意見のもつれは、遺産額の大小に関わらず多様なかたちで発生します。

それぞれの状況に合う法的な“処方箋”を提供できるプロの存在は、どの家庭にとっても欠かせないものです。

弁護士が相続トラブルにおいてどのような形で役立つのか、詳しく解説します。

相続トラブルが最も起こりやすいタイミングとは


相続が発生すると、熟慮期間(3ヵ月)のあいだに相続するか放棄するかを決定し、段階を踏んで手続きを始めなければなりません。

どの段階でもトラブルに見舞われる可能性があるものの、最もリスクが高いのは「遺産分割の話し合い」のタイミングです。

【参考】遺産相続の大まかな流れ

  1. 相続すべき財産を確定させる
  2. 相続人が遺産分割について話し合う
  3. 遺産分割の実施(売却処分など)
  4. 相続税の申告・納付

遺産分割はつまるところ「相続人全員の同意さえあれば自由」とされているがゆえに、自分の主張を押し通そうとする相続人が1人でも現れれば前に進みません。

その結果、年間12,000組~14,000組の家族が家庭裁判所での調停・審判へと移行しています。

参考:司法統計年報(家事編)平成25年度~平成27年度

平成27年度の司法統計によると、遺産分割調停にかかる期間は「6ヵ月~1年間(約33%)」・調停内の話し合いの回数は「6~10回(約24%)」がそれぞれ多数派です。

つまり、調停に移行した多くの家族が1年近く問題に時間を費やしているということです。

調停が無事終わっても、さらにその先には分割の実行・相続税申告…と長い道のりが待っているのです。

相続問題に特化した弁護士のバックアップを得ることができれば、こうした長期化しやすい問題を迅速かつスムーズに進められます。

弁護士に相談するメリット


弁護士は全ての法律問題に精通した「代理人かつ仲裁役」としての最高職です。

「法律=画一的で冷淡な判断基準」と思われがちです。

しかし、法を実務として扱う弁護士の業務は単に法律通りに物事を執行することではありません。

ひとりひとりの気持ちに傾聴し、様々な資料を調査する中で、依頼人が発見できなかった「新しい事実」に気づくこと、そして依頼人に最適な解決法を提示することも、弁護士の使命のひとつです。

【相続問題に特化した弁護士だからこそできること】

  • 知識がないと自覚しづらい「重要な事実」の発見
  • 最適な相続プランに関する客観的アドバイス
  • 「依頼する人の気持ち→法的根拠ある主張」の変換

相続トラブルの場においては、弁護士のもつ役割が最大限発揮されます。

主張を曲げない家族がどんな想いを秘めているのか、依頼する人が相続問題解決の先に何を望んでいるのか。

それをくみ取ることができるのは、色々話を伺い、かつ法の専門家であり実務にも通じている弁護士だけです。

話し合いによる精神的負担を軽減できる


相続トラブルにおける話し合いの場では、責任とストレスが重くのしかかります。

これまで関係良好だった家族と対立してしまうケースでは、精神的ショックが加わって日常生活に差し支えが出る恐れすらあるでしょう。

弁護士は「全権を依頼人から委ねられた存在」として、そのような負担の大きい協議を一任することができる、頼れる存在です。

家庭裁判所での調停・審判にもつれ込む場合も、弁護士であれば申立書類の作成の段階からすべて依頼人の代理人として、依頼人に代わって手続きすることができます。

弁護士の存在そのものが「相手方の納得」に繋がる


相続トラブルにおいて、相手方の最終的な要望がお金の請求であるとは限りません。

「ただ納得したい」という気持ちを上手く言葉にできないだけというケースも多々あります。

こういった状況下であれば、場に弁護士が登場するだけで問題解決へと舵を切ることができます。

なぜならば弁護士は、きちんと法的根拠や証拠を示すことによって「協議内容の正しさ」を担保することができる存在だからです。

専門家ではない人のよく分からない説明では不満であった相手方も、弁護士であれば「納得したい」という要求を叶えてもらえることができるのです。

突発的な相続開始にも対応できる


相続は誰の身の上にも、突発的に起こります。

被相続人と相続人の双方に何の準備も整っていないのは、致し方のないことでしょう。

「何から始めればいいのか分からない」とパニックに陥ってしまう状況こそ、弁護士に依頼するタイミングです。

弁護士であれば、相続財産・相続人の確定といった手続きの初期段階から、将来の税申告や登記トラブルを見据えた対処まで、一元的に任せることができるからです。

遺産分割協議時のトラブル


相続トラブルというと、もっともイメージされやすいのは「相続人間の意見対立」でしょう。

遺産額がごく少額だから、あるいは家族関係が良好だからといって、もめ事が発生しないとは限りません。

認識のズレを修正できなかったり、他の家族には分からないよう隠されてきた感情が溢れたり、様々な要因で対立が発生します。

【トラブル例】

  • どの遺産を誰がもらうか決まらない。
  • 遺産が使い込まれている。
  • 他の相続人が、故人から多額の支援・贈与を受けていた。
  • 故人に対する介護や生活援助の功績を認めてほしい。

弁護士ができる業務


上記のようなトラブルに対して、弁護士であれば、その専門知識を駆使して対応し、解決に導くことができます。

遺産相続には「法定相続分」のほかに、寄与分・特別受益などの、相続財産を相続人間で公平に分割するための制度があります。

また遺言は絶対ではなく、遺留分を侵害するようなケースでは,その限りで遺言の効力は否定されることになります。

このように,寄与分や特別受益が絡む問題,遺留分侵害額請求権を行使する問題等,複雑なトラブルについては,早めに弁護士に相談しましょう。

【一例】遺産分割協議トラブルの解決方法

  • 遺言執行
  • 調停の申立
  • 遺留分侵害額請求訴訟
  • 遺産分割協議書(公正証書)の作成

相続開始時点のトラブル


遺言作成前に急逝する等の事情がからみ、相続開始時点から混乱が生じるケースが多くあります。

また,亡くなった方が借金の存在自体を隠していた等のために、相続財産としてリストアップしておくべき借金の内容が漏れていることもあります。

しかしながら、少なくとも四十九日を過ぎる頃には相続の全容をつかみ、状況を確定させて手続きを本格化させなければなりません。

【一例】相続開始直後のトラブル

  • たまたま遺言書を発見してしまったが,どう扱えばいいか分からない。
  • 相続できる財産がどれか分からない。
  • プラスの財産より借金のほうが多いかもしれない。
  • ほかの相続人と連絡がとれない。

弁護士ができる業務


相続財産と相続人の状況が全く把握できなくても、弁護士であれば、弁護士会照会や裁判所の調査食卓申立手続きを使って調査することが可能です。

ですから、遺言書の発見や相続財産の確定などにも十分対応できます。

問題となるのは、相続財産に借金が含まれるケースです。

プラスの財産が少なければ「相続放棄」の道も考えられますが、そのデメリットや手続き期間の短さを考慮し、他の道も検討します。

【一例】相続開始直後のトラブル解決法

  • 遺言書の検認
  • 相続人調査
  • 遺産調査
  • 相続放棄・限定承認

私たちができること


「相続トラブル=手続き中に発生するもの」とは限りません。

「家族のために生前対策しておきたい」「受け継いだ財産を活用したい」と願う人のなかにも、途中でトラブルに遭遇して挫折してしまうケースが多くみられます。

我々は弁護士・司法書士・税理士が一体となってサービス提供しています。ですから、異分野を横断した解決策を提供できる「相続の総合窓口」としてご相談いただけます。

当法律事務所で相談できること

  • 相続開始後のトラブル全般
  • 調停・審判を有利に進める方法
  • 相続した不動産の節税方法
  • 遺言書作成・家族信託

プロに状況を話すだけでも、いま抱いている相続に対する心理的抵抗を減らして、シンプルに対処法を掴むことができます。

まずはお気軽にご相談ください。

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