相続財産の不動産は揉め事の原因-その理由とは-

弁護士 木谷 倫之 (きだに ともゆき)

相続が発生すると、被相続人(亡くなった人)が所有していた財産について、相続人らで遺産分割協議をして分けることになります。

遺産には、現金や預金などさまざまなものがありますが、不動産がある場合は相続人の間でトラブルに発展しやすくなります。

それは何故でしょうか。

ここでは、相続財産に不動産があるとなぜ揉めやすいのか、その理由について解説します。

相続財産に不動産があると揉める理由

遺産分割で相続人同士が揉める一番大きな要因が、相続財産に不動産があった場合です。

ここでは、相続財産に不動産があると揉める理由の中で多いものをご紹介します。

誰が相続するのかで揉める

相続財産に不動産があると揉める理由の1つに、誰が相続するのかということがあります。

その不動産を引き継ぎたい人が複数いる場合、その人々の間でトラブルが起こります。

例えば、不動産別にみていくと次のようなことがあります。

  • ①自宅
    相続する不動産が自宅の場合は、誰が自宅を相続してそこに住むのかでトラブルになります。
  • ②事業用不動産
    相続する不動産が事業用のものであれば、もちろん後継者は事業用の不動産を引き継ぎたいと考えていますが、それ以外の相続人にも相続する権利があるので、揉めやすくなります。
  • ③使用していない不動産
    使用していない不動産の場合は、それを引き継いで賃貸や事業などで利用したい相続人と、売却して資金にしたい相続人などの間で揉めやすくなります。

相続人間で不平等感が生まれる

不動産は分割が現実的でない相続財産です。

そのため、相続人のうちの1人が1つの不動産をまるごと相続するケースが一般です。

そうなると、不動産は他の財産に比べて価値が高いため、不動産を引き継ぐ相続人とそうでない相続人の間で不平等感が生まれます。

例えば、相続財産が現金・預金1,000万円、不動産3,000万円の合計4,000万円、相続人が2人だったとします。

どちらか1人が不動産を、もう1人が現金・預金を相続した場合、不動産を相続した人の方が3,000万円-1,000万円=2,000万円の得になります。

もし相続財産を1/2ずつ引き継いだのであれば、1人2,000万円ずつ相続できるはずなので、当然、現金や預金を相続した相続人は不満を持つでしょう。

この場合、1人2,000万円ずつ相続したことになるように、不動産を相続した人が、1,000万円をもう一方の相続人に現金で支払うことなどを検討する必要があります。

不動産の評価方法で揉める

不動産は、現金や預金のようにその価値が一目で分かるものではありません。

ですから、相続財産を平等に分割するためには、まず、不動産の価値がいくらかを調べる必要があります。

実は、不動産(土地)の価格には「時価(実勢価格)」「公示地価(公示価格)」「相続税評価額(路線価)」「固定資産税評価額」等、様々な評価による価格があります。

このように不動産にいくつもの価格がついていることを「一物四価(いちぶつよんか)」等と呼びます。

相続税の計算では、相続税評価額や固定資産税評価額を用います。

しかし、遺産を分割する場合にどの価格を参考にするのかは特にきまりはなく、相続人間で決めることになります。

しかし、不動産は、評価の仕方によって金額がバラバラで、大きく異なることもあります。

そのため、どの評価額を不動産の価値とするかで揉めることになります。

相続財産に不動産がある場合に揉めないためには?

ここまでは、相続財産に不動産がある場合に揉める理由についてみてきました。

ここからは、揉めないためにどうしたら良いか、その方法についてみていきましょう。

遺言書を残す

相続では原則として被相続人の意思が尊重されます。

そのため、被相続人の遺言書に遺産分割についての記載があれば原則、その記載内容通りに遺産を分割します。

例えば、遺言に「一緒に生活していた配偶者に自宅を相続する、後継者である長男に事業用の不動産を相続する」と記載しておけば、原則として自宅は配偶者、事業用の不動産は長男が相続します。

自宅、事業用の不動産を巡って、遺産分割で揉めることはありません。

このように被相続人が生前に、遺言書を作成しておくことで、死後のトラブルを防ぐことができます。

生前から常に話し合いをしておく

相続が開始されてから相続人間で不動産の分割の話し合いを始めても、十分に話し合う時間がないなどの理由で、話がまとまらないということも多くあります。

そうならないためにも、相続の開始前から、相続人間で遺産の分割について話し合っておくことが必要です。

そのためには、被相続人にどのような資産があるのか、それがどれだけの価値なのかを生前から調査し、整理しておく必要があるでしょう。

できるだけ早めに、弁護士や税理士などの専門家に相談する

相続では、遺産分割や相続人間のトラブル、相続税についての問題など、専門的な知識がないと解決できないことが多くあります。

相続について困りごとが起きた場合、遺産分割や相続人間のトラブルなら弁護士、登記についてなら司法書士、相続税についての問題なら税理士に相談します。

相続のトラブルでは、解決までに時間のかかる問題も多いです。

もしも相続での困りごとがあったら、できるだけ早く専門家に相談しましょう。

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