相続放棄とは

相続が発生した場合、必ずしも預貯金や不動産といったプラスの財産(積極財産)だけを相続できるわけではありません。

借金といったマイナスの財産(消極財産)も相続の
対象であるため、債務超過(積極財産よりも消極の財産の方が多いこと)の場合には、「相続放棄」を検討する必要があります。

今回はこの、相続放棄について詳しくご説明します。

相続放棄とは

相続放棄とは、積極財産・消極財産を問わず一切の相続財産を放棄することです。

相続放棄をすると消極財産たる借金を返済する義務から解放される一方で、積極財産も相続できなくなってしまうため、債務超過になっているかどうか、また、消極財産を相続したとしても相続したい財産があるかどうかについて、よく調査を行った上で手続きを進める必要があります。

相続放棄の申述は、どこででもいつでもできるわけではなく「家庭裁判所に対して」かつ「自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内」に行わなければなりませんので、相続が発生してから迅速に動かなければなりません。

相続放棄の手続きの概要については下記のとおりです。

  • 申立人 :相続人
  • 申立先 :被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所
  • 必要書類
    ※事情により追加の資料の提出を求められることがあります。
    ・財団法人設立のための寄附行為(一般社団法人及び一般財団法人に関する法律158条2項)
    ・信託の設定(信託法3条2号)
    ・祖先の祭祀主宰者の指定(897条1項ただし書)
    ・生命保険金の受取人の変更(保険法44条)
    ・付言事項

相続放棄のメリットとデメリット

次に、相続放棄のメリットとデメリットの双方をみていきましょう。

相続放棄のメリット

相続放棄のメリットとしては、相続財産の中に借金や負債などのマイナスの財産(「消極財産」ともいいます)があったとしても、これらの消極財産を相続する必要がなくなるという点が挙げられます。

たとえ被相続人に高額な借金があったとしても、適法に相続放棄を行えば、その借金については一切支払う義務はありません。

相続放棄のデメリット

相続放棄を行う場合のデメリットとしては、プラスの財産(積極財産)も相続できなくなってしまうという点です。

相続放棄を行うと、法律上は、はじめから相続人にならなかったとみなされることになるため、積極財産・消極財産のいずれを問わず、一切相続されないという効果が生じます。

相続放棄の注意点

また、気をつけなければいけないのは、一度相続放棄をしてしまうと撤回ができないという点です。

万が一、後になって高価な財産が発見されたとしても手遅れになってしまいますので、相続放棄の手続きを行う際には、きちんと相続財産を調査しておくことが重要となります。

上記のような相続放棄のメリット・デメリットをしっかりと理解した上で最終的な判断をしましょう。

相続放棄の熟慮期間(3ヶ月)

家庭裁判所への相続放棄の申述は、民法上、相続人が自分のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内に行わなければならないとされています(民法915条)。

相続放棄の期間を経過してしまった場合、相続放棄が認められず、相続を承認したものとみなされてしまうのが原則です(これを「単純承認」といいます(民法921条2号))。

しかし、過去の判例(最二小判昭和59年4月27日判時1116号29頁)によると、例外的に、自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月経過してしまった場合でも、相続放棄が認められるケースがあります。

具体的には、相続人が相続放棄しなかったのは、被相続人に相続財産が全く存在しないと信じたためであって、かつ、「被相続人の生活歴、被相続人と相続人との交際状態その他諸般の状況」からみて、相続人に対し相続財産の有無の調査を期待することが著しく困難な事情があって 、相続人が、被相続人には相続財産が全く無いと信じたことについて相当な理由があると認められる場合、相続人が相続財産の全部または一部に存在を認識したとき、または、通常認識しうべき時から熟慮期間を起算する、とされています。

ただし、上記のような取扱いは、事案に応じて裁判所が特別に認定した、極めて例外的なケースです。

ですから、原則としては、相続放棄は「相続人が自分のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内」に行う必要があります。

あとで取り返しのつかないことにならないように、相続放棄をご希望される場合には早めに手続きを進めることをおすすめします。

負債の全貌が明らかでない場合は限定承認手続きも選択肢に

相続の承継には「相続放棄」や「単純承認」の他にも「限定承認」と呼ばれる手続きがあります(民法922条)。

限定承認とは

限定承認とは、相続によって得た積極財産の限度においてのみ債務及び遺贈を弁済することを留保したうえで相続の承認をするというものです。

たとえば、積極財産の額が100万円である一方で、借金の額が200万円あるような場合において限定承認をすれば、相続人が責任を負う借金は100万円までとなり、積極財産の範囲内ですべて賄うことができます。

限定承認の手続き

限定承認の手続きは、相続放棄の場合と同様に、家庭裁判所に対して申述を行う方法により進められることとなります(民法924条)。

限定承認の手続きの期限についても、相続放棄の場合と同様に、自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内とされています(民法924条)。

限定承認は、負債があることはわかっているもののその全貌がすぐに明らかにならない場合によく利用される手続きです。

また、相続財産の中にどうしても手放したくない財産があるような場合にもよく利用されます。

限定承認の注意点

ただし、法律上、限定承認をする場合には、相続人全員で行わなければならないとされており(民法923条)、一人でも単純承認を希望する相続人がいると、限定承認の手続きを利用できなくなってしまうため注意が必要です。

「単純承認」「相続放棄」「限定承認」の特徴をしっかり理解した上で、どの手続きが最適なのか、しっかりと検討することが重要です。

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