相続税申告のペナルティについて-相続税の過少申告や無申告はどうなるか-
相続税の申告を行うためには、相続税に対する高い専門知識が必要です。
専門知識がないままに相続税の計算をしてしまうと、納付額を過少に申告したり、納付する金額がないと思い、無申告になってしまったりすることもあります。
では、相続税の過少申告や無申告には、どのようなペナルティがあるのでしょうか。
ここでは、相続税申告のペナルティについて解説します。
相続税申告のペナルティ
相続税申告のペナルティは大きく分けて、以下の4つです。
- 「延滞税」
- 「過少申告加算税」
- 「無申告加算税」
- 「重加算税」
それぞれのペナルティについてみていきましょう。
延滞税
延滞税とは、相続税を納期限までに納付しなかった場合のペナルティです。
どちらかというと利子の意味合いが強く、法定納期限の翌日から納付する日までの日数に応じて、税額が決まります。
延滞税は納期限の翌日から2月を経過する日までと、それ以降で税率が異なります。
原則として以下の通りです。
- 納期限の翌日から2月を経過する日までは年7.3%
- 納期限の翌日から2月を経過した日以後は年14.6%
ただし、特例基準割合により、計算した税率と14.6%(2か月以内は7.3%)のどちらか低い税率を用いて延滞税を計算するため、そこまで高くなることはありません。
(※特例基準割合とは、各年の前々年の10月から前年の9月までの各月における銀行の新規の短期貸出約定平均金利の合計を12で除して得た割合として各年の前年の12月15日までに財務大臣が告示する割合に、年1%の割合を加算した割合のことをいいます。)
平成30年1月1日から令和2年12月31日までの期間では、納期限の翌日から2月を経過する日までは年2.6%、納期限の翌日から2月を経過した日以後は年8.9%となっています。
延滞税の金額は、以下の国税庁ホームページで計算することができます。
参考:国税庁ホームページ「https://www.nta.go.jp/taxes/nozei/entaizei/keisan/entai.htm」
過少申告加算税
過少申告加算税とは、税金を過少申告していたことに対するペナルティです。
期限内に提出していた相続税申告に対して税務調査が入り、修正申告を行う必要がある場合、新たに納めることになった税金の10%相当額(ただし、当初の申告で納付した金額と50万円のいずれか多い額を超える部分については15%相当額)の過少申告加算税がかかります。
また、自分で誤りに気付いて申告する場合はかかりませんが、修正申告を行った時期が事前通知のなされた後、税務調査前だった場合には、新たに納めることになった税金の5%相当額(ただし、当初の申告で納付した金額と50万円のいずれか多い額を超える部分については10%相当額)の過少申告加算税がかかります。
無申告加算税
無申告加算税は、申告期限までに申告しなかった場合に課されるペナルティです。
相続税の金額や、自主的に期限後申告をしたのか、税務署から指摘を受けて期限後申告したのかで税率が変わります。
①無申告加算税の原則
納める相続税が50万円までの部分は15%、50万円を超える部分は20%の無申告加算税が課されます。
②税務調査前に自主的に期限後申告した場合
納める相続税の金額にかかわらず5%の無申告加算税が課されます。
ただし、税務調査の事前告知があり、その告知から税務調査を受ける前までに自主的に期限後申告した場合は、納める相続税が50万円までの部分は10%、50万円を超える部分は15%の無申告加算税が課されます。
重加算税
重加算税とは、事実を隠ぺいしたり仮装したりした場合など、特に悪質と認められたときに課されるペナルティです。
重加算税の計算は以下の通りです。
①基本
- 過少申告の場合35%
- 無申告の場合40%
②過去5年以内の間に重加算税や無申告加算税を課されたことがある場合
- 過少申告の場合45%
- 無申告の場合50%
この他、故意に申告書を法定申告期限までに提出しないことにより税を免れた場合には、5年以下の懲役もしくは500万円以下の罰金、またはこれらの両方が課される可能性があります。
納税猶予の特例も考慮する
みてきたように、相続税申告のペナルティは重いものばかりです。
そのため、相続税の計算を正しく行い、期限内に納税を済ます必要があります。
しかし、資金繰りなどの関係で相続税を期限内に支払えないこともあるでしょう。
その場合に考えるのが、延納と物納、そして納税猶予の特例です。
延納と物納
「延納」とは相続税を年賦により分割納付することです。
「物納」とは一定の物(相続財産)で相続税を支払うことです。
納税猶予の特例
「納税猶予の特例」とは、一定の財産に対する相続税の納税が猶予されるというものです。
しかも、条件を満たしている間は納税をする必要がなく、最終的には納税が免除されます。
納税猶予の特例には、「農地等を相続した場合の納税猶予の特例」「非上場株式等についての相続税の納税猶予及び免除の特例」「特定山林を相続した場合の納税猶予の特例」などがあります。
それぞれに、特例を受けるための条件や手続きが決まっています。
まとめ
これらの特例を受けようとする場合は、まず、税理士などの専門家と相談するようにしましょう。
また、そもそも相続税の計算に不安がある場合や、相続税を期限内に支払えない場合なども同様に、まずは税理士などの専門家と相談しましょう。
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